施工管理技士が覚えておくべきKY活動
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このページでは、作業現場と作業スタッフの安全を確保するために、施工管理技士が覚えておくべき「KY活動」について説明しています。KY活動の内容や考え方、具体的な取り組み方法などについて、わかりやすくまとめました。事故発生件数が少ない建設会社として施主から支持され、しっかりと受注を続けられるようにするためにも、KY活動は施工管理技士にとって非常に重要な仕事だといえます。
KY活動とは
さまざまな危険が存在する工事現場。安全に作業するためには、起こりうる危険をふまえ、それを防ぐための方法を理解することが大切です。そのための活動を「KY活動」と呼びます。
この活動は「KYK」と「KYT」に分かれています。前者は、危険予知活動のことです。作業前に話し合いを通じて皆で危険への対応策を共有します。後者は、危険予知訓練のことです。現場ではなく、教室などの場所で訓練や講習を受けます。
KY活動の考え方
KY活動は、危険予知において、可能性および重大性のレベル評価に基づいておこなうことが大切です。可能性と重大性を3つのレベルに分けて考えます。それぞれのレベルは次のとおりです。
- 【可能性レベル1】対策をとれば起こらない
- 【可能性レベル2】対策をとっても起こる可能性がある
- 【可能性レベル3】対策をとっても高確率で起こる
- 【重大性レベル1】軽い切りキズ程度
- 【重大性レベル2】入院が必要になる
- 【重大性レベル3】深刻な後遺症の発症や死亡につながる確率が高い
可能性と重大性のレベルにおけるバランスを、対応策を考える際の優先順位に、どのように反映させるべきでしょうか。例えば、可能性レベルが3であっても、重大性レベルが1であれば、優先順位は下がります。一方、可能性レベルが1であったとしても、重大性レベルが3であれば、優先順位は一気に上がります。全力で対策を講じる必要が生じるわけです。
KY活動の進め方
実際にKY活動を進める際には、代表的な取り組み方である「4ラウンド法」が参考になります。3名から5名程度のグループを構成し、作業における「現状把握」「本質研究」「対策樹立」「目標設定」の4つの段階を確認する方法です。危険予知活動の意欲を向上させ、事故防止のための仕組みをブラッシュアップすることがねらいです。それぞれの段階について、詳しくみていきましょう。
段階1 現状把握
作業現場にひそんでいる可能性がある危険要因の洗い出し、つまり「リスクアセスメント」を実施します。関係者で話し合って共有します。
段階2 本質研究
現状把握の段階で洗い出した危険要因のなかで、重要性が高いと考えられるものについて、その本質的な原因を考えていきます。 たとえば、作業現場にある資材が倒れるようなことがあれば、作業員がケガをしてしまう可能性がある、という危険要因の場合、その原因は資材の養生がはなされていないことだといえます。
段階3 対策樹立
この段階では、段階3で把握した危険要因の本質な原因を解消するために、重点実施項目の作成をおこないます。解消する方法を話し合い、現場のルールやチェックの仕組みなどの対策を練っていきます。
段階4 目標設定
最終段階でおこなうのは、目標設定です。段階3で決定した対策が、現場でしっかりと実施されるようにするのがねらいです。具体的には「指さし確認の徹底」「作業をスタートさせる前のチェックを一定期間続ける」「朝礼時にスタッフ一人ひとりが目標を唱和する」などの具体的な取り組みを決めます。
ここでおさえておきたいポイントは、関係者全員がしっかりと実行できる目標を立てなくてはならないということです。難易度が高すぎたり、あるいはあまりに手間がかかってしまうものであったりすると、せっかく立てた目標であっても、実行に移すことができません。
KY活動は現場全体で行うもの
KY活動において重視したいのは、作業員全員が、KY活動を通して危機管理の意識を持つようにすることだといえます。建設会社としては、施主から評価されて選ばれ続けていく存在であるためにも、極力、事故の発生をおさえたいところです。ですから、KY活動を重視し、施工管理のクオリティを高め、「優秀なスタッフがそろっていて事故が少ない会社」という評価を得ていくことがとても重要です。
とはいえ、KY活動が徐々におざなりになってしまう状態も推測されるので、この点も考慮に入れておきたいところです。おざなりの状態にならないようにするために、どのような工夫をすればよいでしょうか。
例えば、現場監督としての役割をもつ施工管理技士が、1日の作業終了時に、各職長との打ち合わせをする際、事故が起こりそうな状況などに関して、あらかじめ考えておいた場面を伝えておくなどするのも、ひとつの方法です。第三者視点を職長に持ってもらうことで、新たなイメージをふくらませることにつながります。
まとめ
KY活動をおこなう上で特に注意しておきたいポイントは、「まさか自分が事故に遭うことはないだろう」という慢心だといえます。しかし、実際に事故が起こる可能性がある以上、油断はできません。
「事故に遭いたくない」「事故を発生させたくない」といった気持ちを大切にしてKY活動を実践し、未然に事故を防ぐことのできる安全な現場環境の構築が求められます。施工管理技士としての、作業員および現場の安全管理のための大切な仕事だといえます。